フリーターズフリー3号を発行しました!

 フリーターズフリー3号の編集・発行責任の生田武志栗田隆子です。
 2014年12月、フリーターズフリー3号を発行しました。
 2008年に02号を発行してから6年ぶり、そして最後の「フリーターズフリー」です。
 フリーターズフリーは、不安定就労や若年労働問題について当事者から声を上げるということを目的に、有限責任事業組合フリーターズフリー」として編集発行しました。
 2007年の創刊号は「生を切り崩さない仕事を考える」、2号は非正規雇用と貧困の原点としての「女性の貧困」がテーマです。
 有限責任事業組合フリーターズフリー」は解散し、今回は生田武志栗田隆子の任意団体「フリーターズフリー」として3号を編集・発行します。

 3号のテーマは「反貧困運動と自立支援」です。
 反貧困運動は2007年から全国で広がりましたが、現在、それは明らかに以前のような明確な方向を示せなくなっています。
 そして、この10年、様々な現場で「自立支援」という言葉が流行し、完全に定着していきました。障がい者や野宿の現場では、かつて「自立」の概念や「自立支援法」をめぐって激しい論争が繰り広げられ様々な問題が浮き彫りにされましたが、現在、それが「なかったこと」であるかのように、「自立支援」という言葉が普通に使われています。この「反貧困運動」と「自立支援」の意味をあらためて根底から問い直してみよう、というのが、この3号のテーマとなっています。(詳しい内容については、以下の「前書き」と「目次」をごらんください)。

 今回、フリーターズフリー3号は、ISBNを取らず、書店などでの流通はしない、という形を取っています。手売り、あるいはサイトでの注文のみ、という形です。
今回の部数は1000部、どこまでこの形で売れるか、やってみたいと思っています。
ネット注文については、数量・ご氏名(ふりがな付きでお願いします)・ご送付先・希望の書名(フリーターズフリー3号・フリーターズフリー1号+2号+3号等) お電話番号、 emailを明記のうえ、postmaster@freetersfree.org からお願いします。
 フリーターズフリー3号は税抜き1400円、税は不要、送料無料です。
また、1号(1500円)、2号(1300円)も販売しています。「1号+2号」のセット販売は2500円、「1号+2号+3号」のセット販売は3900円となります。
 みなさん、フリーターズフリー3号を手に取って読んでくださることを心から期待しています。

フリーターズフリー3号前書き

 フリーターズフリー3号へようこそ わたしたちの現在地

 フリーターズフリー3号のテーマは「反貧困運動と自立支援」です。
 フリーターズフリーが創刊号を刊行した2007年は、反貧困ネットワークが結成され、2号を刊行した2008年の年末には「年越し派遣村」が作られ、特に「派遣村」については大きく報道されました。こうして、フリーターズフリーは「反貧困」運動の展開とちょうど同時に活動してきたのです。
 確かに、反貧困運動は「この豊かな(?)日本にも貧困があった!」という問題を突きつけ、社会に様々なインパクトを与えました。けれども、いまあらためてまわりを見てみると、事態はむしろ大きく悪化してしまいました。まず、フリーターをはじめとする非正規雇用の労働者は増え、生活保護利用者も増え、ブラック企業まで激増し…。一部の、もともとお金持ちだったり、個人的に能力がある人たちはなんとかなってますが、それ以外の人には「普通に生きていく」ことがさらに困難な「息苦しい=生き苦しい」社会になってしまいました。
 貧困は「経済」的なものであると同時に社会「関係」的なものでもあります。震災後は特に、「絆」という言葉が「2011年の漢字」に選ばれたりして、ブームのように使われました。しかし、「もやい」の稲葉剛さんが「絆原理主義」と批判してましたが、最近の動きを見ていると、貧困や震災などの問題を「(社会を変えるとかじゃなく)個人どうしの助け合いで何とかしろ!」という意図でこの言葉が伝われているのではないかとさえ感じます。実際、わたしたちがこの数年見てきたのは、経済的な「格差」の激化とともに、さまざまな「つながり」の崩壊でした。
 反貧困運動では「反貧困でつながろう!」と言われました。確かに、それまでつながりのなかった様々な団体、個人が運動の中でつながったことには大きな意味がありました。しかしその後、わりしたちは活動の中でのさまざまな分裂を否応なしに見ることになりました。フリーターズフリーも例外でなく、意見の相違などの結果、有限責任事業組合としては解散し、任意団体(法人でない団体、いわばただのグループ)としてこの3号を発行しています。「活動ってなんだろう?」「なぜこうした不幸な軋轢が避けられないんだろう?」ということを、わたしたち自身、問い続けることになっています。
 そしてそれと同時に、貧困者、障害者、母子家庭など様々な現場で「自立支援」という言葉が「業界」で大流行しました。「自立」支援、言い換えれば「自立できない弱い人たちを周囲が支援して助けてあげる」という「上から目線」な話ですが、それがすっかり定着してしまっています。それは「絆」の流行とリンクしていて、いわば「国と企業は侵すべからざるもの」だけど、個々人やNPOとかによる「社会的弱者の自立支援」については多少の補助は出さなくもないよ、という発想ではないかと思います。
 わたしたちは、こうした「バックラッシュ」というか、不吉な事態が進行している中で、あらためて、この「息苦しい=生き苦しい」社会をどう変えていくべきか、そしてそこにどう闘っていくべきかを問おうとしました。これが、巻頭の「共同討議」の内容であり、この3号のコンセプトとなっています。読者のみなさんには、ぜひともこの討議を読んでいただきたいと思います。ここには、自らの身から絞り出すような痛切な言葉がいくつも語られています。
 そして、現在の労働問題の一つの焦点として介護労働があります。この問題を遙矢当さんの「未払い賃金を取り戻せ 介護事業所 編」が自らの体験を通して語っていただいたいます。また、大学の非正規問題も、ここ数年、大きくクローズアップされました。この問題を、渡邊太さんの「非正規の自立―大学労働の経験から考える―」で語っていただいています。
 そして、貧困や非正規の問題を語るとき、日本だけを考えて海外の貧困問題を無視することはできません。この問題を、嶋田ミカさんの「労働破壊という「津波」にのまれて―ジャワから日本への襲来―」、綱島洋之さんの「自律への希望 後編」(前編は2号に掲載)が扱っています。
 「国と企業は侵すべからざる」と言いましたが、もう一つフリーターズフリーが問おうとしたのは「家族」です。この点について、保育と学校について1960年代から70年代にかけて行なわれた貴重な試みとして、中野冬美さんへのインタビュー「共同保育という試み」、そして小柳伸顕さん、岡繁樹さんへのインタビュー「教育と福祉の間で――「あいりん小中学校」の子どもたちとケースワーカー」で様々なことを伺いました。それぞれについて、類例のない貴重な記録になっていると思います。
 生田武志の「反貧困運動と自立支援―それは何からの自立なのか?」は、この3号のテーマをめぐる論考で、同時にフリーターズフリー創刊号の「フリーター≒ニート≒ホームレス――ポスト工業化日本社会の若年労働・家族・ジェンダー」の再検討と批判を行なうものにもなっています。
 そして、イラストは、創刊号で表紙を書いていただいた前田ポケットさん、2号で表紙を書いていただいた壱花花さんに再度登場していただきました。ありがとうございます!
 最後は、生田武志栗田隆子の往復書簡による後書きです。ご覧の通り、フリーターズフリー結末に至る苦しみがテーマになっています。
 さて、なんと言うか、この3号の発行のためにわたしたちは本当に力を振り絞りました。それはこの「後書き」を見ていただければおわかりだと思います。もう、これ以上は本当に無理です。
 読者のみなさん、協力していただいたみなさん、執筆者のみなさん、数えげられませんが、多くのみなさん、本当にフリーターズフリーのためにありがとうございました。わたしたちの最後の仕事をご覧下さい。

フリーターズフリー3号目次
○前書き

○共同討議―「自立」そして「支援」とは何か―反貧困運動と自立支援をかえりみる

ケアそして不安定労働
○遙矢当「未払い賃金を取り戻せ 介護事業所 編」

○4コママンガ 前田ポケット

大学の非正規・海外の貧困
○渡邊太「非正規の自立―大学労働の経験から考える―」
○嶋田ミカ「労働破壊という「津波」にのまれて―ジャワから日本への襲来―」
綱島洋之「自律への希望 後編」

○イラスト 壱花花

家族とは?―保育・教育
○中野インタビュー「共同保育という試み」
○小柳・岡インタビュー「教育と福祉の間で――「あいりん小中学校」の子どもたちとケースワーカー

○イラスト 壱花花

生田武志「反貧困運動と自立支援―それは何からの自立なのか?」

後記としての往復書簡